誰よりも遠く。誰よりも近く。
まだ1度も会ったことのない
年上の男の人
少し前の私だったら
絶対に知らない人に
ましてや、年上の男の人になんて
警戒心からメアドなんて教えなかっただろう
でもコウさんなら…
なんて根拠のない安心感があった
「コウさんって彼女いるの?」
「えっ…??」
横で念入りにマスカラを塗る
友達の〈さえ〉が突然口を開いた
「彼女いんの?!優歌、負けんな!!」
勢いよく立ち上がる〈真沙美〉は目をキラキラと輝かせている
「真沙美、だからね…」
「恋は略奪してなんぼだよ!!」
「…はいはい」