探偵ユウ.1~旅館はるもと殺人事件~
今までずっと、そこにいたのかな。
目が少し潤んでる。
「夏恋さん、ごめんなさい」
夏恋ちゃんはしばらく黙っていた。
「私……」
震えた声が聞こえる。
「はるもとに若奈さんが戻ってくるのを待ってます」
若奈さんは目を見開く。
そして俯きながら車椅子から立ち上がり、
「ありがとう。その一言で救われたわ……」
平山警部と共に歩いて行った。
ロビーには若奈さんの車椅子がポツンと置いてあった……。