シュガースパイス
君を見つけた
――…
「それじゃ、みんな!今日は飲め!俺のおごりだ!」
課長の言葉に“ワーッ!”と騒ぐ社員達。
俺は特に騒ぎもせず、呆然と目の前にあるジョッキビールを飲んでいた。
「課長っ!奥様まだいらっしゃらないんですか?」
歩が興味津々に課長に聞く。
「おぉ、もうすぐ来るはずなんだが…あぁ来た来た!おい!結菜!」
課長の声に社員達が振り向く。
俺もチラッとそちらを見る。
「遅くなってごめんなさい。待った?」
――目を奪われた。
綺麗な顔立ちに、色白の肌。
華奢な体付きに、ピンク色の唇。
サラサラのロングヘアの黒髪が、より一層、彼女の美しさを際立てている。
「うぉーーっ!めっちゃ美人!課長羨ましすぎっすよ〜!!」
野郎どもがガヤガヤと騒ぎ出した。
今まで俺は女に見とれることなんか、なかった。
適当に近寄ってくる女の相手をして
自分の欲求だけを満たしていた。
けれど…
俺は今、初めて女に見とれた。