シュガースパイス
「おいおい、翔!ヤバくね!?あれは想像以上だな〜!やっぱめっちゃ美人じゃんか〜♪♪」
「………………」
俺は思わずゴクッと生唾を飲み込んだ。
ホントに初めてだったんだ。
こんなに自分に余裕がなくなるのは。
誰かを“欲しい”と思ったのは。
――けれど。
彼女は課長の女だ。
しかも結婚もしている。
“上司の女”
手を出せば即刻、クビだろう。
俺にはクビになる勇気も
彼女から幸せを奪う勇気も
全てを壊す勇気もない。
俺は無理矢理、彼女から目線を外した。
これ以上彼女を見ていたりしたら
きっと止まれなくなる。
理性が効かなくなる。
“彼女が欲しい”と
心から願ってしまう――…