シュガースパイス
「え?成瀬課長の奥さんが?」
ここは会社の近くにあるカフェ。
俺は今、同期で親友の松山歩(マツヤマアユム)と昼を食べていた。
「おぅ!今度の飲み会に連れてくるらしいぜ?しかもめっちゃ美人だってよ!」
歩は興奮気味に、俺の背中をバシバシと叩いてくる。
「ってぇよ、バカ野郎」
俺は鋭く歩を睨み付けた。
「うわっ!こわーい、翔ちゃん!そんなんだから彼女が出来ないのよ〜!?」
歩はわざとらしく言ってくる。
「……とにかく…課長夫人は例外だろ。どんなに綺麗でも上司の女に手ぇ出す気にはなれねぇよ」
俺は呆れたように言うと、昼のトンカツを頬張った。
「ん〜まぁそうだけどさ。翔はまだ彼女作んねぇの?」
歩はコーヒーを飲みながら俺を見る。
彼女……ねぇ。
俺は溜め息を吐いた。