シュガースパイス
「愛してるわ。愛してるから…あなたに抱かれてるのよ…」
私は変に悟られないように言った。
偽りの“愛してる”。
真琴につく嘘が、日に日に増えていく。
「そうか…。そりゃそうだよな。悪かったな、変なこと聞いて」
真琴はそう言うと、私は力強く抱き締めた。
「ううん…いいのよ」
私はそっと真琴の背中に腕を回した。
密着する、鍛えられた逞しい真琴の体。
それなのに、私は翔と比べている。
私が欲しい温もりは、この温もりじゃない。
私が欲しいのは
翔の温もりなの。