シュガースパイス

「分かったら、さっさと仕事しろよ。俺は忙しいんだ」




俺は井上から目を逸らすと、デスクに向かった。




「……あたし…諦めないから…」




井上は震える声で俺に訴える。




「……マジ迷惑。」




俺は井上を見もせずに、冷たく呟いた。




すると井上はいきなりメモ帳を取り出し、何かを走り書きすると、それを俺に渡してきた。




「…何これ」




「あたしのメアドとケー番!気が向いたら、連絡して…?」




はぁ。
全然分かってねぇじゃん。




俺は渡されたメモ用紙をスーツのポケットに入れた。




今ここで捨てたりしたら、コイツは泣き出したりするに違いない。



それだけはごめんだからな。




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