シュガースパイス

そして、みんな課長の女に会えることを楽しみにしながら仕事に専念した。




俺は違うけど。




「新藤!この書類、来週までにまとめておいてくれるか?」




成瀬課長に分厚い書類の束を渡された。




「はい、分かりました」




俺は頭を下げると、書類を受け取った。




これはまた…かなりの量だな。




ま、仕方ねぇか。
仕事だし。




俺は眼鏡を掛けると、書類とパソコンの睨めっこを始めた。




「お前は本当に真面目だな。期待してるからな」




係長は微笑むと俺の肩にポン、と手を置いた。




「……ありがとうございます」




俺は、はにかむと再びパソコンに目を移した。




真面目……か。




新人はまだ、あまりデザイン画は描かせてもらえないからな。




せめて雑用をこなしていれば…いつかは力を見せられる時が来るんだろう。




俺はそう思いながら毎日を過ごしてる。




< 8 / 90 >

この作品をシェア

pagetop