シュガースパイス
――…
「お疲れ様でしたー」
仕事が終わり、みんなが一緒にオフィスを出る。
「いや〜楽しみだなぁ、翔!やべぇわーッ!!」
歩が俺に擦り寄ってくる。
「…寄んな、キモい」
俺は冷たく突き放すと、歩を睨んだ。
「ったくよ〜!ひでぇなぁー翔ちゃんは…ほら!見ろよ、あの子達お前のこと見てるぜ!」
歩がすぐそこに集っている女どもを指差す。
……興味ねぇ。
俺はフイッと顔を背けると、足早に歩き出す。
「あっ、待てよ〜翔ちゃーん!」
あぁうるせぇ…
俺はむくれる歩を置いて、さっさと歩く。
「ま、無理に女作れとは言わねぇけどさ。お前も俺と真希みたいに頑張れよ!」
“真希”とはコイツの彼女。
俺から見てもかなりのバカップルだ。
「間違っても、お前らみたいなのにはなりたくないけどな(笑)」
「はっ!?おい!酷いじゃねぇか、翔!」
歩が嘆きながら俺に近寄ってくる。