Sorcery Game
狂島



涼しい空気が森を舐めるように吹き抜ける。

森は、見たところ普通…

何の変哲もない…

木の背丈も、葉っぱの大きさも、地面も、俺達の知っている森そのもの。

木が覆い茂っているから、空は見えないが、微かに日光が差し込んでいるから昼なのは間違いない。

昼でこの暗さは問題だが…

「静かすぎて気味が悪い…

エーワン
A1、一応武器を構えといて。」

諒が召喚獣である武装兵を召喚した。

諒の背後に黒い渦が巻き、中から赤いタクティカルベストに迷彩のズボンの男が姿を現す。

目は常に何かを油断無く見回し、手にはアサルトライフル、腰には剣と大量の手榴弾やナイフが装備されている。

かなり良い戦力になりそうだ…

「じゃぁ私も…

出てきて、スカイ!」

里美の背後にいた春も、諒に続いて召喚を始めた。

里美がいれば、十分なボディガードになるとは思うが…

里美は、原野道場師範の娘で、柔道、空手、少林寺、太極拳、剣道、薙刀道など、武道を極めている。

確か、前にチンピラ達を一人で捕まえて髪がぼさぼさの警察官に表彰されていた。

あの警官よりは、里美の方が強そうに見えたのを今でもよく覚えている。
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