Sorcery Game



バサッ……











空気が変わった……


「逃げろ!雅也!!!」

紘佑が眼を見開いて叫んでいる。

後ろに、何かいる…

俺は、何となく感じていた。

紘佑が風斬を抜き、突風を送ってきた。

バサバサと俺のジャージが音をたて、同時に炎に包まれた何かが俺の顔の真横を通り過ぎていく。

さらに、サブマシンガンを構えた諒と、剣を抜いたA1が、走り抜けて行く。


一体……


俺は、ゆっくりと背後を振り返った。

そこにいたのは、蛾だった…

ただし、全長は2mを越え毒々しい羽にくるくると巻かれたストロー…

虫ならではの複眼には、俺や諒がはっきりと映っている。

さっき俺の顔の真横を通り過ぎていった火の玉も、見事命中とはいっていないようだ。

パラララララララララ!

諒が持つサブマシンガンが火を吹き、無数の銃弾が巨大な蛾に向かっていく。

しかし、蛾は関係無しに諒へと近づいていく。

諒のサブマシンガンの音が止まり、蛾が諒の前で止まる。

そして、そのストローが、ゆっくりと伸び始めた。


そして…

体に深々と突き刺さった。
< 37 / 77 >

この作品をシェア

pagetop