Sorcery Game
バサッ……
空気が変わった……
「逃げろ!雅也!!!」
紘佑が眼を見開いて叫んでいる。
後ろに、何かいる…
俺は、何となく感じていた。
紘佑が風斬を抜き、突風を送ってきた。
バサバサと俺のジャージが音をたて、同時に炎に包まれた何かが俺の顔の真横を通り過ぎていく。
さらに、サブマシンガンを構えた諒と、剣を抜いたA1が、走り抜けて行く。
一体……
俺は、ゆっくりと背後を振り返った。
そこにいたのは、蛾だった…
ただし、全長は2mを越え毒々しい羽にくるくると巻かれたストロー…
虫ならではの複眼には、俺や諒がはっきりと映っている。
さっき俺の顔の真横を通り過ぎていった火の玉も、見事命中とはいっていないようだ。
パラララララララララ!
諒が持つサブマシンガンが火を吹き、無数の銃弾が巨大な蛾に向かっていく。
しかし、蛾は関係無しに諒へと近づいていく。
諒のサブマシンガンの音が止まり、蛾が諒の前で止まる。
そして、そのストローが、ゆっくりと伸び始めた。
そして…
体に深々と突き刺さった。