Sorcery Game
━━━━━柴田諒━━━━━
巨大な蛾が僕の前に来てしまった。
巨大な複眼は僕を捕らえていて、巻いていたストローがゆっくりと伸び始める。
全てがスローモーションになり、ストローの先が僕に向かって伸びている。
ダメだ…
足に力が………
僕は震える足をなんとか維持しながら、A1から受け取ったサブマシンガンをしっかりと構えた。
ストローは既に胸から30cm内に入っている。
完全に詰め将棋だ…
でも………
プスッ………
ストローは僕ではなく、僕とストローの間に入り込んだA1に突き刺さった。
僕の足がついに限界を超え、膝から崩れ落ちる。
僕のせいで、A1が……
その瞬間、僕の意識は急激に遠退いていった。
誰かが僕の真横を通り過ぎていったのは覚えているけど…
僕の意識はブラックアウトした…
『総隊長…
私は無事です。
我々武装兵は死ぬことが無い…
生命力が一定値を超えると総隊長の中に戻りますし、回復もできます。
それより、そろそろ起きてください。
皆さん待っていますよ。』
頭に聞こえてくる低い声…
よかった…
無事だったんだ………
僕はゆっくりと目を開けた。