私の恋and事件簿♥
第3部 ⑦〜本能〜
私はマンションを見上げて固まる。
今なら、まだ火が消せる確率は50%はある。
消防車が来るまで5分…いや、駅前が混むから、遠回りして8分弱。
「どうすんだよっ!?」
「消防車はまだなのーっ!?」
徐々に集まり出した野次馬が騒ぎ始めた。
…やるしかない…。
マンションを見上げて、覚悟を決めた。
私はハンカチを口元に縛り、マンション内へ走った。
「の、野神刑事っ!!」
沢塚さんの声を背中に聞きながら、1階のポスト前にあった消火器を抱えて3階建ての最上階の、女の人がいた部屋を目指した。