さくらんぼ、ひとつ。
芽生え

春風

「恋」

なんて素敵な響きなんだろう。

たった2文字の言葉なのに、

その中には、幸せ、切なさ、、

たくさんの想いが詰まっている。

あいつとあたしの思いも。



「あーいーなっ!」

ハイテンションなその声に

あたしは振り向いた。

「うわあっ、びっくりしたあっ」

「ごめんっ!ね!また一緒だよ!クラス!」

「ほんと!?やったあー」

4月5日。

桜がいつしか満開になって、

まわりに春の空気が溢れている。

入学式前日に慌しい私達の中学校。

あたしは1人で生徒玄関の

掃除をまかされていた。

高橋藍那、新中2。

「1組だって!1組!!」

あたしの前でぴょんぴょんと

飛び跳ねて嬉しそうなあたしの親友、

岡本結衣。

スタイル抜群で顔もかわいくて、

モデル並みのルックスの持ち主。

そして、恋多き女。

付き合った男は数知れず…?

「裕也くんも1組だった」

結衣は、あたしの耳元でささやいた。

塚田裕也。

確か、結衣の今現在の好きな人。

ちなみに結衣は1週間程前に、

年上の先輩と別れている。

立ち直り早すぎだろ、と

いつも思ってしまう。

そんな結衣だけど、

とにかく恋には一途な子。

恋したら、その人しか見てません!!

っていう感じの。

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