さくらんぼ、ひとつ。
あたしも急いでしゃがんで構えた。

「よーい・・・どんっ」

山本くんの掛け声であたし達は、

一斉に走り出した。

山本くんは、すぐにあたしの横を通り抜けて、

どんどん前へ走っていった。

あたしは、必死に山本くんを追いかけた。

廊下の窓から吹いてくる風が気持ちよかった。

8組を通り抜けて、7組、6組、5組、4組、、

3組の前に来たときには、

山本くんとの間は、5メートル程あった。


「はあっ…」

あたしは、2組前を全力で走り抜けて、

1組前でとまった。

山本くんはすでに到着していて、

笑顔でこっちの方を見ていた。

「速いってば!!」

あたしが息を切らしながら言った。

「俺、これでも小学校んとき陸上やってて、

全国大会で決勝までいったからね♪」

あたしにピースをしながら山本くんは言った。

「えっ、すご!!」

「まー過去の栄光だけどねw」

そう言って、山本くんは、

息を切らしているあたしをおいて、

教室の中に入っていった。

通りで、山本くんの走るフォームは、

本当にきれいだった。

背筋がピンと伸びていて、

足の動きがすばやくて。

本当に風みたいだった。

そんな山本くんに対抗して、

本気で走ってしまった自分が、

なんだか恥ずかしかった。

でも、、

山本くんの走る姿かっこよかったな。

なんて思ってしまう。

まー走るの速い人は、

誰でもかっこよく見えるよな…
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