愛しているから、さようなら!【BL】
「おいコラ、待てよ順也!」
彼は僕の名前を呼びながら、猛ダッシュで追いかけてくる。
徐々に差は縮まるし、
僕は走るのが得意じゃない。
息切れして立ち止まったところを、
まだ余裕のある彼に捕まってしまった。
「何で今日も先に帰るんだよ?」
「……今日も気をつかってみたつもり」
「あの中にも、俺の好きな相手は居ない!
……それに昨日は、絶対もうしないって約束しただろ?」
そう言えばそうだった。
「忘れてたよ、ごめん」
素直に謝ると、彼は珍しくため息をつき、
しかしすぐに何かを思いついたようで、
「俺は傷つきました!」
「……昨日も聞きました」
どうも嫌な予感がする。
「なので俺に付き合って、家に寄って行きなさい」
……命令形だ。
「……別にいいけど……」
どうせ家は隣同士だ。
断っても、連れ込まれるに決まっている。
それなら大人しくついて行こうと思う。