愛しているから、さようなら!【BL】
「これでいい?」
「うん、ありがとう!」
にっこり笑ってそういう彼は、
僕の首元へと顔を埋めようとした。
「ちょっと待って!」
慌てて顔を掴んでブロックする。
「駄目?」
「それよりも、何するつもりなの?」
「キスマーク付けんの」
「何で?!」
「……練習?」
小首をかしげて言う。
別に可愛くないよ。
「あれってさ、意外とつけにくいらしいんだ。知ってた?」
「知る訳無いよ」
だよなー。うんうんと、彼は頷いている。
「だからさ、練習させて?」
「……自分の腕にでもすればいいんじゃない?」
「いや、全然皮膚の感じが違うじゃん」
だから実際にやってみたいのだと、
彼はそう言った。
「他に頼める相手居ないしさ、な?」
また、お願い。と。
今度は苦笑しながら言った。
困ったような眉と、
少し端の持ちあがった唇は
ほんのちょっと年嵩に見えて、
カッコいいと思ってしまう。
僕が彼のその顔に弱いのだと
どうか知られませんように。