愛しているから、さようなら!【BL】

「見えない所にするからさ、安心しろよ」

そう言って、再度彼の顔は僕の首に埋められた。
今度は僕の抵抗は無い。
つい了承してしまったからだ。


まあ、普段通りに着てれば
全然見えないから大丈夫だよなと、
そう彼は言いつつも、首筋ではなく、
Tシャツを引っ張り下ろして、
鎖骨よりも下に唇をくっつけた。

恐らく吸ったのだろう。
チクリと軽い痛みが走った。

「……ちょっと難しいな」

「じゃあもう諦めようよ」

何も今、すぐに出来るようにならないと
いけないという訳でも無いのだろうから。

僕の言葉に、彼は顔を上げて、
至近距離で目が合った。

その事に僕が動じるよりも前に、
彼は再び顔を伏せて


がりっ。


「……ぃたっ……!」


僕の鎖骨に噛み付いた。


「あ、歯形は簡単についたー……」

てへっと、顔を上げた彼は
痛みに顔を顰める僕に気が付き、笑った。


「……痛かった?」

「痛いよ!」

今も。


< 27 / 150 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop