愛しているから、さようなら!【BL】
2人の差は広がるばかりだけど、
もうすぐ家に着きそうだ。
家に閉じこもられようとも、
僕の家には合鍵がある。
チェーンを閉められても、
車庫へと繋がるドアがある。
だから、どうにかなるはずだ。
それでもすぐに話しがしたくて、
彼を追う足は止められない。
でも段々と限界が近づいてきて、
足がもつれる。
もう1度、呼びかけてみよう。
「とまっ……!」
しかしそこでついに、
ずべしゃっと盛大に音を立てて転んだ。
どこかが開いていたらしい鞄から
物が落ちて転がる音がした。
さすがに彼も立ち止まり、振り返る。
「……大丈夫か?」
「っ、ぜ、んっぜん、」
大丈夫じゃ、無い。
むしろどうやったら大丈夫に見えるの?
息も切れ切れに言い返す。