愛しているから、さようなら!【BL】
「順也、拓真くん来たわよ」
家に帰って寛いでいると、
母さんがそう言って、彼が入ってきた。
「……なんで先に帰ったんだよ?
別に用事無いっておばさん言ってたし」
ふてくされてる。
「だってさ、好きな人、
あの中にいたんじゃないの?
一応気を使ってみたつもりなんだけど」
「あの中には居ない!
それに、そんな気遣いいらないし」
「そっか。なら、ごめんね」
まだ不機嫌そうな彼に、
お菓子を差し出してみる。
彼の好きなチョコ菓子だ。
「……こんなんじゃ誤魔化されない」
「うん。もうしないから。
とりあえず食べなよ」
僕がそう言うと、
仕方がないなといった風情で、
お菓子を口に運んでいく。
……嬉しそうに食べるのを見るのが、
僕の好きなことの1つだ。