はちみつキャンディ
あー、キスしたい。

しちゃおうかな。

①くちびるに

②おでこに

うーん、②で。

おでこにかかった前髪をはらって

キスをした。

あたしってキス魔なのかな。

起こしたら悪いし、リビングに戻った。

もう一つの部屋で勝手に本を読む。

タイトルは【黄金の樹】

けっこうおもしろくて、ハマった。

ガタンッ

リビングのほうで音がした。

すっかり夢中になっていて気づかなかった。

ガチャ

ドアが開いて、潤太が顔をだす。

「みやびーっ」

潤んだ瞳でこっちによってくる。

「どうしたの?」

「帰っちゃったかと思ったよー」

潤太は泣きそうだ。

「大丈夫だよ」

あたしは潤太を守りたくなった。

「だって、こんな時間だったし・・・」

ん?こんな時間?

時計を見ると、9時を過ぎていた。

「あーっ!?」

「帰るの?」

潤太は例の哀願の顔であたしを見る。

もうダメ。

この手を使われたら、反対なんてできない。

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