君がいるから。
「ねぇねぇ。陽ちゃんは好きな人とかいないの?」
『あたし?あたしかぁ…。今んとこいない』
「うっそー!陽ちゃんとか絶対好きな人いそうなのにー。」
あたしはいつも友達の美沙と2人で話してる。
一緒に学校に行って、昼休みは2人でお喋りをして、また一緒に帰る。
美沙は大人しめの子で、胸より少し下くらいのストレートの髪を頭の高い位置でツインテールにしている。
人に気を使ってばかりで心配だけれど、とてもいい子。
でも、今日はあたしと美沙の会話に珍しく第三者が入ってる。
クラス一可愛いと有名な由貴ちゃんだ。
由貴ちゃんを好きな男の子はたくさんいて所謂、「モテ子」。
今は昼休み。
めったに話し掛けてなんか来ないのに、珍しい…なんて思っていたら会話を聞いて納得した。
どうせ、人の好きな人を聞き出してそれを本人にバラして、2人をくっつけさせようってクチだろう。
そんな事の何が楽しいんだろう、と考えながら話していた。
そう。
この時はまだ、恋愛なんて考えられなかったんだ。