仮面
プロローグという名の終わり
「死ぬの?」
彼女が聞いた。
「……そうよ。」
私は短く答えて、自分の右腕に目を落とした。さっき包丁で切り裂いた傷口からは、大量の血が流れ出ている。
真っ赤な血が、私の白いワイシャツを綺麗に染めていく。
彼女はそんな私を見ながら、淡々とまた聞いた。
「何故死ぬの?」
「生きるために必要なものを無くしたから」
「必要なもの?」
「…………憎しみだよ?」
私は小さく笑みをこぼした。
「…大量のね…」