I think so.
いきなり待っててね、と言われたキョウヤは首をかしげ、あたしを見つめる。


「何をっすか?」


「いいのいいの、気にしないで。あっ、そうだ」


あたしはキョウヤの手を引いて二階まで上がり、あの部屋の前に立つ。


どうやらこの部屋は特定の人しか入られないらしい。

だからきっとキョウヤも入れないのだろう、あたしが入っていくとドアの前で静かに待っていた。


「はい、これナギサ二つもとってさ。あげるよ」


最近流行りらしい、お茶目な顔で笑うお化けの大きいぬいぐるみ。


「あ・・・有り難うございますっ!」


こんなお化けを貰って嬉しいのか、キョウヤはパアッと目を輝かせて勢いよく礼をした。
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