甘いパン屋のつくりかた



私の母は、
女手ひとつで
私を育ててくれた。
小さい頃から
父がいなかった私は
母がだいすきだった。



けど、
母は2年前に他界した。
交通事故だった。




途方にくれた私を
ひきとってくれたのは
母方のおばあちゃん。





今は
おばあちゃんとほのぼの
暮らしているんだ。




お母さんは
ずっといっていた。




(いい?林檎。

林檎はね、リンゴみたいな女の子になるのよ。フルーツケーキにリンゴが使われてないのは、リンゴはひとつでとても美味しくて他の果物とは混ざりあえない甘さを持ってるからなのよ?

例え、人とは外れてしまっていても私の強さ、美しさはこれなんだって主張しなさい。


みんながみんな認め合う素晴らしさなんてつまらないわ。特別な誰かにあなたの良さがわかってもらえることが世界で何よりも素敵なことよ。)







私はまだ、
その意味がわからない。






それってただの
他と混じりあえない
個性的な人ってことじゃないのかと思ってしまう。








だけど、
他人にうまく流されることも
私はできない。
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