甘いパン屋のつくりかた




そんなこんなで
毎日夕方からのテニスがなくなり、私はいつもぽけーっとしていた。







(あーあ、桜も散っているなぁ…。綺麗だなぁ…。)




と、外を眺めていると








「りーんごっ!」







目をあげると
唯一の友達、
日向(ヒナタ)



日向は、
これ以上の美人を見たことがないほどの美人。
スラッと背が高くて
目はキリッとしていて
鼻は高くて口は綺麗な形…



「こら!りんごってば!さっきからずーっと呼んでるんですけど!」




「はっ!なになに?ごめん!」

私はじーっと
日向の顔を見つめていたようだ。


「もー!りんご、最近ぼーっとしすぎだよ?やっぱりテニス辞めたから…?」
そう言うと日向はどこか寂しそうな顔をした。




そう、日向は
私と同じテニス部で
ダブルスのペアだった子だ。
私が日向に黙って部を辞めた時、めったに泣かない日向が泣きわめいた。
どうして頼らなかったの!と怒りながら泣きわめいていた。
私は、あの時
私の代わりに泣いてくれた日向をみてとても嬉しかった。




シュンとした日向をみて
慌てて笑顔をつくる!


「違う違う!春になってぽかぽかしてきたし、桜も綺麗でさ〜…」

言いながら校庭を指すと
つられて日向も見る。




「わぁ〜…やっぱ綺麗だねぇー!」





笑顔になった日向を見て
ほっと安心する。






うん、やっぱり日向には
笑顔が似合う。
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