アナタとの距離。
『始まりは些細な事』
――季節は夏。

太陽は間断なく大地を照らし、やかましく蝉が鳴いている。


生暖かい風が吹き抜けていく夏の午後。


そんな過ごしにくい外を歩いている少年が一人。


暑さの為、額からは汗が滲み出ている。



少年が向かっていく先は二階建てのまあまあ大きな家。


近所の家とはほとんど密集している為か、少々日当たりが悪いらしい


少年はその家の前に行くと、ゆっくりとインターホンを押す。


しばらくするとバタバタと慌ただしく家の中から音が聞こえてきた。


「はーい」


「直人です。小川 直人」


少年……直人が名乗るとガチャリと音をたて、扉が開いた。


「直人君いらっしゃい。真澄なら二階よ」


「こんにちは明乃さん。お邪魔します」


明乃と呼ばれた真澄の母親は直人を手招きし、中にむかい入れた。

直人はきれいに靴を揃え、真澄のいる二階へと向かった。




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表紙・目次

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