転生と赤い糸
さっきまでの懐かしい香りは消え、今は香水の爽やかな香りがあたしを包む。
「・・綾。今の理解できてる??」
「え・・?えぇぇぇぇ?!」
あたしは抱きしめられていた事を思い出して、彼の胸をドンと押した。
「あ・・あの・・えっと・・・」
「フッ・・理解できてないんだ?。あぁ、俺、木下孝太郎ね。」
「あの・・どういうことか全く理解できてないんですけど・・」
「そっか・・綾にはちゃんとした記憶がないんだ?」
木下君はうーーんと考える素振りをして、「そっか、そっか」を繰り返す。
「しゃぁーないから、一から説明するわ・・・」
木下君は、あたしが見ていた夢の話を自分もよく見ていた事、
その夢の中の二人が木下君とあたしの前世である事、
その二人が転生して、自分たちを出逢わせたという事を話してくれた。
あたしは半信半疑だったけど、それを何より決定付けたのが・・・
二人の手の甲にあるサクラに似た火傷の痕だった。