転生と赤い糸
あたしの頭上から聞こえる声。
振り返らなくてもわかる・・・木下君だ。
「まぁ、俺もモテルんだけどね?」
「それは別に聞いてないんだけど?・・それより・・龍・・・そんなにモテルの?」
「そりゃぁもう!!入学した頃から、学校行事がある度に告白告白・・だし。でもずっとその告白を断ってたんだよ。好きな人いるからって。その好きな子が彼女になったわけなんだけど・・・」
「・・そういうの嬉しいかも・・・」
「でも・・・安心できないよ?龍、中学の時の年上の彼女の事をたまに話すし・・それに・・・近々俺が龍から綾を奪うから♪」
・・・中学の時の年上の彼女??
一気にテンションが下がる・・・
「ねぇ、木下君。その年上の彼女って・・今も連絡取ってるのかなぁ??」
「うーーーん・・・そういうのは自分で聞いたら??ほら、龍来たよ?」
前を見ると、人ごみの中から頭一つ分出た龍の顔が見えた。
「龍!!!」 あたしは龍に大きく手を振る。
コッチに近づくにつれ、龍の姿がはっきりわかるようになる。
両手にペットボトルを持って、左下に視線を向けながら笑って誰かと話している姿。
その左下にいる人を見て、あたしは大きく振っていた手を下げてギュっと握り締めた。