転生と赤い糸
「ねぇ、りゅ・・・」
あたしは龍を見て、龍の意識があたしではなく違う方向に向いているのに気付いた。
さっきまでの楽しそうな龍の表情ではなく、悲しい表情・・・
《ただの幼馴染》と言われたからそんな顔をするの?
あたしがもしこの場に居なかったら、サナさんと・・・?
でも、龍はあたしを《俺の可愛い彼女》って言ってくれたし・・・
みんなに見せびらかすようにしてくれたし・・・
きっと、ただ単にあたしの勘違いだ。思い過ごしに違いない。
そう思い込もうとした矢先に木下君が爆弾を投下した・・・
「なぁ・・・龍。サナさんって・・・お前がよく話してる年上の元カノ??」
「は?なんで急に??」
龍はチラっとあたしに視線を向けて笑って誤魔化したけど、あたしは一瞬の龍の表情を見逃さなかった。
「なんでって、なんか二人雰囲気が良かったから、そうなのかなぁって思ってさ。」
木下君は・・・最低だ。
あたしがココにいるのに、よくそんなこと聞ける・・・
でも。龍の答えが聞きたい・・・
龍はあたしの顔を見て、「違うよ?ただの幼馴染だし♪綾、変な心配すんなよ??」
そう言うと、あたしの腰をグッと引き寄せた。
「う・・うん。大丈夫・・・」あたしは流の袖をギュッと掴んだ。
「コーーーーラ・・・俺の前でいちゃつき禁止・・・」
「あ・・わりぃ・・まだ孝太郎いたんだ??」
龍は悪戯っこのように木下君に言った。
それから私たちはまた校舎に入った。
さっきと違うのは・・・龍の視線が何かを探すようにアチコチに動いているのと・・・
さっきまで繋がれていた手が・・・・離れていること・・・