転生と赤い糸



「ねぇ、りゅ・・・」





あたしは龍を見て、龍の意識があたしではなく違う方向に向いているのに気付いた。





さっきまでの楽しそうな龍の表情ではなく、悲しい表情・・・





《ただの幼馴染》と言われたからそんな顔をするの?





あたしがもしこの場に居なかったら、サナさんと・・・?





でも、龍はあたしを《俺の可愛い彼女》って言ってくれたし・・・





みんなに見せびらかすようにしてくれたし・・・





きっと、ただ単にあたしの勘違いだ。思い過ごしに違いない。





そう思い込もうとした矢先に木下君が爆弾を投下した・・・







「なぁ・・・龍。サナさんって・・・お前がよく話してる年上の元カノ??」





「は?なんで急に??」





龍はチラっとあたしに視線を向けて笑って誤魔化したけど、あたしは一瞬の龍の表情を見逃さなかった。





「なんでって、なんか二人雰囲気が良かったから、そうなのかなぁって思ってさ。」






木下君は・・・最低だ。





あたしがココにいるのに、よくそんなこと聞ける・・・





でも。龍の答えが聞きたい・・・






龍はあたしの顔を見て、「違うよ?ただの幼馴染だし♪綾、変な心配すんなよ??」





そう言うと、あたしの腰をグッと引き寄せた。





「う・・うん。大丈夫・・・」あたしは流の袖をギュッと掴んだ。






「コーーーーラ・・・俺の前でいちゃつき禁止・・・」





「あ・・わりぃ・・まだ孝太郎いたんだ??」





龍は悪戯っこのように木下君に言った。









それから私たちはまた校舎に入った。





さっきと違うのは・・・龍の視線が何かを探すようにアチコチに動いているのと・・・








さっきまで繋がれていた手が・・・・離れていること・・・









< 23 / 76 >

この作品をシェア

pagetop