転生と赤い糸



学園祭も終わり、あたしの頭の中から《サナさん》の存在は消えていた。






龍とは毎日会っていたし、龍のあたしに対する気持ちも確実なものだったから。







学校帰り。






あたしは、CDショップに一人で寄っていた。






今日は龍は昔の友達と遊ぶ約束しているらしく、会えなくて・・・






久々に一人でブラブラできるし、美容院にでも行こうかなぁ。






前に龍が「綾って、髪染めないんだ?明るい色も似合いそうだけど?」って言っていたのを思い出した。





真っ黒なロングのストレートヘアー。






気に入っている訳じゃないんだけど・・・






イメチェンしたら龍驚くかなぁ・・・喜んでくれるかなぁ・・・






よし!!






あたしは、すぐに美容院に予約を入れた。








「あ!綾!!」






呼ばれたほうに振り返ると、木下君が友達といた。






「・・あ・・木下君・・」






「そんな露骨に嫌な顔しないでよ。ってか、一人なの?龍は??」






「龍は、今日、昔の友達と遊ぶって・・・」






「・・・昔の友達・・・?」






木下君は、視線を右にそらしてから、「あ!!そうそう!そんな事言ってたわぁ♪なぁ?」と、隣にいた友達に同意を求め、明らかに何かを隠している様子で言った。






「・・・違うの?」






「なにが?」






「龍・・・昔の友達と遊んでるんじゃないの??」






木下君に一歩詰め寄って、問いただす。






木下君は、きっと、嘘をつけない人なんだろう。






目が泳いでいるのがよくわかる。






< 25 / 76 >

この作品をシェア

pagetop