転生と赤い糸
学園祭も終わり、あたしの頭の中から《サナさん》の存在は消えていた。
龍とは毎日会っていたし、龍のあたしに対する気持ちも確実なものだったから。
学校帰り。
あたしは、CDショップに一人で寄っていた。
今日は龍は昔の友達と遊ぶ約束しているらしく、会えなくて・・・
久々に一人でブラブラできるし、美容院にでも行こうかなぁ。
前に龍が「綾って、髪染めないんだ?明るい色も似合いそうだけど?」って言っていたのを思い出した。
真っ黒なロングのストレートヘアー。
気に入っている訳じゃないんだけど・・・
イメチェンしたら龍驚くかなぁ・・・喜んでくれるかなぁ・・・
よし!!
あたしは、すぐに美容院に予約を入れた。
「あ!綾!!」
呼ばれたほうに振り返ると、木下君が友達といた。
「・・あ・・木下君・・」
「そんな露骨に嫌な顔しないでよ。ってか、一人なの?龍は??」
「龍は、今日、昔の友達と遊ぶって・・・」
「・・・昔の友達・・・?」
木下君は、視線を右にそらしてから、「あ!!そうそう!そんな事言ってたわぁ♪なぁ?」と、隣にいた友達に同意を求め、明らかに何かを隠している様子で言った。
「・・・違うの?」
「なにが?」
「龍・・・昔の友達と遊んでるんじゃないの??」
木下君に一歩詰め寄って、問いただす。
木下君は、きっと、嘘をつけない人なんだろう。
目が泳いでいるのがよくわかる。