転生と赤い糸
現世の恋の先
どこで何をしてるの??
どっちから誘ったの??
何で会う必要があるの??
ドコをどう走って来たか、信号をちゃんと守ったか・・・わからない。
とにかく、龍に会いたい。
それだけだった。
龍の家に近づきちょっと冷静になってきて、美容院の予約の事を思い出してちょっとスピードを緩める。
あ・・・しまった・・・。キャンセルの電話入れなくちゃ・・
ちょうど目の前に公園が見えてきたから、公園の入り口に自転車を停めて美容院に電話を入れた。
「・・あ!すみません!!さっき予約した新海ですけど・・・用事が出来てしまって・・予約キャンセル・・・したいんですけど・・・」
そう言って、視線を自分の自転車のハンドルからちょっと上げた時。
自分の目を疑った。
電話の向こうからは、美容師さんの声がなんとなく聞こえてくる。
きっと、「わかりました」、「またお願いします」的な事を話してるんだろうけど
あたしの耳には全く入ってこない。
「・・あ・・・じゃぁ・・失礼します・・・」
会話の途中だったかもしれないけど、あたしはそのまま電話を切った。
目の前の光景から目が離せない・・・
アレは・・・どういうこと??
なんで??
あたしは咄嗟に自転車の陰にしゃがんで隠れた。
携帯を握り締めて、自分の足元一点を見つめる。
ちょっと・・待って。頭の中がぐちゃぐちゃになっていく。
自分がいるその場所だけが、波打ち際でサァーーーーーっと波にさらわれていくような錯覚。
ギュッと目をとじて、身体に力を入れて耐える。
そして・・・ゆっくり目を開けて、自転車のサドル越しにそっちを見た。