転生と赤い糸
「昔からって・・お前らこの間の学祭で初めて会ったんだろ?!どういうことだよ・・」
木下君は左手に巻かれていたサポーターを外し、それを龍に見せた。
「・・なっ!!それって・・・綾と同じ・・・」
木下君の左手の甲にも、あたしと同じ桜の形をしたアザがくっきりとある。
前世で二人が愛し合った証・・・
「俺と綾は、昔から変な夢を見てたんだ。まぁ、信じるかどうかわからないけど・・・。
《前世》の夢を・・・」
龍もサナさんも意味がわからないという感じで木下君の話を聞いている。
「俺らは、前世で愛し合っていたのに結ばれなかった運命だったみたいで。で、このアザを残して、来世でまた愛し合おうって約束したんだよ。つまり・・・俺らがいる現世のこと。俺と綾は、前世からの知り合い・・・っていうか、恋人・・・
でも。今、綾には龍がいた・・・けど・・もう遠慮はしない。俺は前世で成し遂げられなかった事を現世で成し遂げる。」
木下君はあたしをチラっと見て、また龍に向き合った。
「綾を俺のものにするから。お前は、サナさんとうまくやってくれ。それだけだから・・じゃぁ、行くぞ!、!!」
「・・えっっ?!ちょっと・・・」
あたしは木下君に無理矢理引っ張っていかれた。
その場に立ち尽くした龍は・・・悲しそうな顔をしてあたしを見つめた。
一度サナさんの方を見て、あたしに聞こえるくらいの大きい声で・・・
「俺が好きなのは綾だけだから!!信じてくれ!!」
そう叫んだ。