転生と赤い糸
木下君の心臓の辺りにあたしの顔があるから、木下くんの心音がよく聞こえる。
「・・木下君・・・心臓早いよ?」
「・・うっせぇ・・当たり前だろ?好きな女を抱きしめてるんだから・・」
「聞いていい??」
「・・ん?」
「木下君はさ・・・その・・・前世とか信じてるの?」
「・・あぁ・・実を言うとさ、はじめは信じてなかった。・・でも、学園祭の時、もし綾が俺のところに来たら・・・その時は運命を信じようって思ったんだ。」
「でも、それは前世の記憶であって・・・前世の感情であって・・・今の感情じゃないんじゃ・・」
「んー・・でも、初めて綾を見たとき、あぁ、俺、前世から好きな女のタイプ変わってないんだ・・って思ったけど?」
「そっか・・・」
「なぁ、綾?今は龍がいいかもしれないけど・・・俺は綾を待ってるからさ。それだけは覚えてて・・・」
抱きしめられたまま無言でいると、閉園を知らせる園内放送がかかった。
「・・結局、動物見れなかったな・・さて・・・帰るか♪」
木下君はまたあたしの手を握って、歩き出した。