転生と赤い糸
待って?何の話?
サナさんが妊娠した相手の話だよね??
龍が・・・その相手・・?
身体中が一気に冷えていくのがわかる。
龍を見ようとするけど、視点が定まらない。
サナさんの妊娠・・・
相手は・・・龍・・・
心臓がおかしいくらいに暴れる。
高校生のあたしにとって、妊娠っていうのは人生でとても凄いことだから
ビックリしすぎて声もでない・・涙も出ない・・
「・・綾・・・ごめん・・・黙ってて・・」
龍の言葉が・・・苦しい。
黙ってて欲しかった・・・
聞きたくなかった・・・
あたしの知らないところで、あたしに気付かれないように、
解決して欲しかった・・・
「・・さっきサナと話してさ、サナわかってくれたから・・・もう、俺を忘れて前に進むって言ってくれたから・・・だから・・・綾・・・」
龍が言っていることは、あたしにとって良いことかもしれない。
女関係を綺麗にしてきたからこれからはちゃんと向き合えるよって言ってくれてるんだから・・・
でも・・・知らなくていい事を知ってしまったんだよ?
身体の関係があったことを責めたいんじゃない。
妊娠したっていう事実がどれだけ大きなことか、ちゃんと避妊をしなかったということがどれだけ二人の距離が近かったかって事を責めたいんだ。
「・・綾?」
「・・ごめん、龍・・帰るね・・・」
「綾!!待って!!」
龍は立ち上がったあたしの腕を引き抱きしめた。
いつもなら嬉しい抱擁・・・でも、今は違った。
「--っ離して!!!触らないでよ!!」
あたしは龍を突き飛ばしてそのまま部屋を出た。