転生と赤い糸
サナさんはあたしに龍を許してやってと言う。
どうして?
「あの・・なんであたしに龍を許してって?」
サナさんは下げていた頭を上げて言った。
「龍は綾ちゃんが好きだからよ・・・」
この人は・・・本当に龍が好きなんだ・・・
「サナさん・・すみません。あたし、もう帰ります。」
あたしはそう言うと、飲みかけのカフェオレを持って店を出た。
・・・なんだろ・・・この虚無感・・・。
龍がサナさんを妊娠させた事や、二人がキスしていた事なんてどうでもよく感じる。
さっきまではあんなに頭にきていたのに・・・。
・・・ブブブ・・・ブブブ・・・
ポケット中で携帯がバイブする。
携帯を取り出し、画面を見ると龍からの着信だった。
・・・龍・・・ごめん。今は話したくない・・・
そのまま携帯を閉じた瞬間にまた携帯がバイブした。
・・・木下君・・・
あたしはなんの迷いもなく電話に出た。