転生と赤い糸
「・・もしもし」
「綾?今どこ?」
「・・駅前だけど・・」
「駅?って龍は?」
「あれから龍の家に行って話聞いたよ。それからすぐに出てきちゃって・・・で、さっきまでサナさんといた・・・」
「・・・すげぇなぁ・・・修羅場じゃん?」
どこか楽しんでるかのような言い方にカチンと来る。
「・・で?なに?」
「ん・・・とりあえず、そこで待ってて!!今から行くから!!んじゃ、絶対待ってろよ?!」
木下君は一方的にそう言って電話を切った。
なんなの?!今日は・・・
でも。木下君からの着信で、《今から行くから》って言葉を心のどこかで期待していた。
ズズズ・・っとカフェオレを飲み干して、ゴミ箱に捨てる。
自転車置き場で、自転車を出すのに苦戦している人を見て龍を思い出した。
そういえば・・・あの日・・・龍が告白してくれた日・・・自転車出すの手伝ってくれたなぁ・・・
あの時は心臓が飛び出るんじゃないかってくらいドキドキした・・・
あの時、龍はあたしを選んでくれたんだよね・・・
嬉しいはずなのに・・・今・・・喜べないあたしがいる。