転生と赤い糸


「・・もしもし」





「綾?今どこ?」





「・・駅前だけど・・」





「駅?って龍は?」




「あれから龍の家に行って話聞いたよ。それからすぐに出てきちゃって・・・で、さっきまでサナさんといた・・・」




「・・・すげぇなぁ・・・修羅場じゃん?」





どこか楽しんでるかのような言い方にカチンと来る。





「・・で?なに?」





「ん・・・とりあえず、そこで待ってて!!今から行くから!!んじゃ、絶対待ってろよ?!」





木下君は一方的にそう言って電話を切った。





なんなの?!今日は・・・





でも。木下君からの着信で、《今から行くから》って言葉を心のどこかで期待していた。





ズズズ・・っとカフェオレを飲み干して、ゴミ箱に捨てる。





自転車置き場で、自転車を出すのに苦戦している人を見て龍を思い出した。





そういえば・・・あの日・・・龍が告白してくれた日・・・自転車出すの手伝ってくれたなぁ・・・





あの時は心臓が飛び出るんじゃないかってくらいドキドキした・・・





あの時、龍はあたしを選んでくれたんだよね・・・




嬉しいはずなのに・・・今・・・喜べないあたしがいる。




< 55 / 76 >

この作品をシェア

pagetop