転生と赤い糸
「綾!!わりぃ!!待たした!!」
電話から数十分後、木下くんはあたしの前に現れた。
「・・・木下くん。」
「・・なに?!どした?!大丈夫か?!?!」
木下君は、あたしの顔を覗き込んで慌てた様子で言う。
あたし、そんなに辛いよって顔に出てる?そんなに辛くないのに?
「おい!綾?!話してみろ!!ホラ!!お菓子食うか?!何食べたい?!綾の好きなものなんでも食べさせてやるから!!」
木下くんのあまりにも必死な様子がおかしくて・・・おかしくて・・・
あたしは泣いた。
子供みたいに、ここは駅前だってことも忘れて、人目も気にしないで・・・
ただただ泣いた。
何で泣くのかもよくわかってないまま、ただただ、うわぁぁぁぁーーんと泣いた。
木下君はそんなあたしをふんわり抱きしめてくれた。
「いっぱい泣こうな。俺が綾の傍にいるから・・一緒にいるから・・」
抱きしめられて、頭を撫でる手が懐かしい・・・
包まれる力が懐かしい・・・
木下君の鼓動が懐かしい・・・
ふと抱きしめられる力が緩められ、下から木下君を覗くと、とても優しい瞳であたしを見つめる。
あたしは・・・あたしたちは・・・
引き寄せられるようにそっと唇を重ねた。