月の下でキスと罰を。
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「展示以外にも、フォトグラフ、演劇とか、活躍の場をいろいろ考えてみるわ」
「……お任せします」
瀬良と蘭子の会話が聞こえる。隣の部屋から。
どうやら蘭子は、あたしと瀬良の両方を買い取ったようだ。あたしには分かった。
「瀬良くんこの家で独り暮らしなの?」
すぐには、瀬良は答えなかった。
「まだ18なのに。学校は?」
さっきまで、高い声で鳴いていた蘭子は、余韻も無くベラベラと喋っている。
「中学を卒業してから、人形作りをしたくて……バイトしながら独学でビスクドールを作ってました。両親の保険金があったから、なんとか」
「ご両親、いらっしゃらないの」
「事故です」