月の下でキスと罰を。

 **
 *


「展示以外にも、フォトグラフ、演劇とか、活躍の場をいろいろ考えてみるわ」

「……お任せします」

 瀬良と蘭子の会話が聞こえる。隣の部屋から。


 どうやら蘭子は、あたしと瀬良の両方を買い取ったようだ。あたしには分かった。

「瀬良くんこの家で独り暮らしなの?」

 すぐには、瀬良は答えなかった。

「まだ18なのに。学校は?」

 さっきまで、高い声で鳴いていた蘭子は、余韻も無くベラベラと喋っている。

「中学を卒業してから、人形作りをしたくて……バイトしながら独学でビスクドールを作ってました。両親の保険金があったから、なんとか」

「ご両親、いらっしゃらないの」

「事故です」



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