月の下でキスと罰を。

「あたしよ」

 蘭子の声。

 誰かと電話で話をしているようだ。ケースを伝って、車の振動が関節に響く。


「そう、瀬良光司と契約を結びます」


 瀬良の名前は、なんだか知らない人の名のように聞こえた。あとは意味の分からない単語の羅列。


 あたしは、蘭子の家に連れて行かれるのか。


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