月の下でキスと罰を。

**
*


 それから少しして、蘭子の家に瀬良がやってきた。ああ、瀬良! 会いたかった会いたかった。
 あたしは、久しぶりに体が温かくなるのを感じた。

「取材、少し入れておいたから。この間の展示、海外の方もいらしていたしね」

「ありがとう、ございます」

 手放しで喜んでる風ではなかったけれど、瀬良は微笑んだ。

「聞こうと思ってたんだけど、蘭子さん体調でも悪いんですか? 顔色が悪いですよ」

 少しの間。

 蘭子はあたしを指差す。瀬良はあたしを見る。

「ね、またなのよ」

 ケースが開けられる。瀬良、元気そうで良かった。会いたかった。

「また、泣いているのか……」

 泣いてなんかいないわ、寂しかったのよ。あたしずっとあなたを……。


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