月の下でキスと罰を。
「呪われてるんじゃないの、その子……」
言ってから、蘭子は口に手をやる。
あたしの頬を拭う瀬良の手が止まった。
少しだけ長い沈黙が、その場に流れた。聞こえるのは、瀬良の呼吸の音。
「……返して、いただけませんか? 月を」
久しぶりに、自分の名前を呼ばれたことに気付いたのは、瀬良の問いに蘭子が答えた時だった。
「返す?」
蘭子は、顔色がますます悪くなっていた。
「お金はお返ししますから」
「ちょ、ちょっと」