月の下でキスと罰を。
何度か同じ顔が続くかと思えば、見なくなったり、また暫くして違う女が来たり。食事の事や、生活の事を少し世話をしているのかな、それ以外あまり分からなかったけれど、瀬良にしか興味が無いことだけは分かった。
「人形師、か」
その時に居たのは、長い黒髪の若い女だった。きつい目をしている痩せて背の高い女で、でも瀬良を愛しているんだろうなというのが分かる。
女は、カヨと呼ばれていた。
今までのような、着飾った派手な女ではない。
「なんで、人形なの? 作るのが」
細くて白い腕を持って、作業をしている瀬良が、その問いに動きを止めた。
「なんで、人形を作ろうと思ったの?」
カヨはまた同じ事を聞いた。
「うーん、難しい質問するね」
「有名な人形師なのに、なにそれ」