月の下でキスと罰を。

「作って置いてったのに、おにぎり食べなかったの?」

 カヨがこの家に出入りするようになり、季節は移り変わっているようで、二人とも薄い服を着ている。

 カヨは、テーブルにあった紙切れのようなもので、顔を扇いだ。

「この暑さ、食べないと具合悪くしちゃうよ。バテるし」

「ごめん、作業して疲れて寝ちゃって」

「また床で寝ちゃったんでしょ」


 工房へ来て、瀬良から少し離れた所に置いてある扇風機を付け、瀬良へ向けた。

「体、気を付けて」

 瀬良の側へ行く。でも作業の邪魔にならないように。カヨの畳を擦る足音。

「うん、ありがとう。カヨ」


< 38 / 88 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop