月の下でキスと罰を。
「作って置いてったのに、おにぎり食べなかったの?」
カヨがこの家に出入りするようになり、季節は移り変わっているようで、二人とも薄い服を着ている。
カヨは、テーブルにあった紙切れのようなもので、顔を扇いだ。
「この暑さ、食べないと具合悪くしちゃうよ。バテるし」
「ごめん、作業して疲れて寝ちゃって」
「また床で寝ちゃったんでしょ」
工房へ来て、瀬良から少し離れた所に置いてある扇風機を付け、瀬良へ向けた。
「体、気を付けて」
瀬良の側へ行く。でも作業の邪魔にならないように。カヨの畳を擦る足音。
「うん、ありがとう。カヨ」