月の下でキスと罰を。

 きつい目をしているのは変わりないけれど、なんだかどこも見ていないような、この工房に並んでいる、返事をしないその他の人形達の目みたい。


「どうしたら、いいかな」

 カヨは、あたしに話しかけた。ビックリした。瀬良以外にあたしに話しかける人間なんか居ないから。

 どうしたらって、どういう事? あたしに何か出来る?


「……」

 空洞みたいな目をして、ふっと涙も流していた。

 寂しそう、だった。

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