月の下でキスと罰を。


 瀬良は、それからしばらくして帰ってきた。

 玄関で誰かと話をしているらしい。「一緒にいらしてください」と同じ声が聞こえた。黒い服を着た男。


 真っ暗だった家に、玄関の付近だけだが灯りが付いた。あたしは少し、ホッとする。


「遺書はご家族宛でしたので、お届けしておきます。それと……」

「……はい」


「さっき連絡があったんですが、ホンダさん……妊娠されていたそうです」

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