月の下でキスと罰を。
人間は、食べなければ痩せていってしまう。そのままだときっと待っているのは「死」なんだと思う。
カヨがぶら下がったあの日。あれがカヨの「死」。
その死の後は、どうなるのかあたしには分からないが、見ているのは気分の良いものでなくて、あたしには瀬良にしてあげられることって無いのかしらと、あの歌が低く流れる工房で、いろいろと考えていた。それは毎日だった。
カヨの事があってから、どれくらい時間が過ぎて行ったのだろうか。
少し、瀬良の周りが騒がしかったようだが、それも長くは続かない。いつもの通りの静かな日がやってくる。
瀬良は、また痩せて目だけが鈍く光っていた。