月の下でキスと罰を。
冬のある日。
瀬良がセーターを2枚重ねて着て、震える日だった。温めてあげたかったのだけれど、どうしたって瀬良よりも手が冷たくて冷たくて、可哀想だなと思いつつ、窓の外を見て「寒いな」とつぶやく瀬良を見ていた。
男が訪ねてきた。背が高く、強い目、強い体をした男だった。
工房の壁に添って、人形達が置いてある。それを見ながらゆっくりと歩くその男を、あたしは見ていた。
「引きこもっていたんですか? 探しましたよ」
「……」
「少し前、あの自殺騒ぎが週刊誌に載ったから」
招き入れたは良いものの、瀬良も困ったような顔をしている。