月の下でキスと罰を。

 陽が傾いてきていた時間。ただでさえ薄暗い工房が更に暗さを増す。

 男はあたしに手を伸ばそうとして止め、深呼吸をしてまたつぶやいた。

「やっと本物を見ることができた。すばらしい」

 その後ろに、少し離れて瀬良がいる。虚ろな目をして立っていた。

「以前、雑誌で拝見しました。感動して……」


 興奮気味だったが、ひとつ息を吐いて瀬良に向き直る。

「先日のお話、悪くはないと思います。うちは芸能プロダクションだけど、プロモはするからご安心を。君は制作だけしててくれればいい。」

「あの小田桐さん……」

「なんですか?」

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