月の下でキスと罰を。
呼び鈴が鳴り、瀬良は玄関へと向かった。
「ご足労おかけして」「いいえ」瀬良の声と、蘭子の声とが交互に聞こえる。
「こちらです」
聞き慣れた足音と、瀬良の声。ついに来たと、あたしは背筋が凍ったような気持ちになった。嫌だ、嫌だ。
「この子、特別なんです。初めて満足のいくドールができた」
瀬良の手が、あたしの頬を撫でている。
「この子は、生きてるみたいに人を見る」
知ってる。生きてるの反対が死ぬ。あたしが生きているなら、他の人形達は死んでる。話さないもの。
「……大事にしてあげてください」
「分かりました」
そして女のヒールの音。コツンコツンと硬い音。
「これからも人形、作ってね。私が援助します」
細い尖った爪、それは赤く塗られていてあたしの肌に触っていたけれど、気持ち悪くて払いのけたかった。
「……生活、楽ではないでしょう。嫌でなければ」
「ご足労おかけして」「いいえ」瀬良の声と、蘭子の声とが交互に聞こえる。
「こちらです」
聞き慣れた足音と、瀬良の声。ついに来たと、あたしは背筋が凍ったような気持ちになった。嫌だ、嫌だ。
「この子、特別なんです。初めて満足のいくドールができた」
瀬良の手が、あたしの頬を撫でている。
「この子は、生きてるみたいに人を見る」
知ってる。生きてるの反対が死ぬ。あたしが生きているなら、他の人形達は死んでる。話さないもの。
「……大事にしてあげてください」
「分かりました」
そして女のヒールの音。コツンコツンと硬い音。
「これからも人形、作ってね。私が援助します」
細い尖った爪、それは赤く塗られていてあたしの肌に触っていたけれど、気持ち悪くて払いのけたかった。
「……生活、楽ではないでしょう。嫌でなければ」